家の外壁塗装の汚れやくすみ、歪みなどが気になることがあると思います。また、外壁塗装業者のチラシや突然訪問してきて、劣化症状を指摘してくることで調べるきっかけになることがあります。
外壁塗装は、築年数に比例して劣化していくものです。その劣化は放置していいものなのか、すぐに雨漏りなどの外壁内部に影響を与えるような可能性が高いのか、基礎や下地にどんな影響があるのかなど事例も紹介します。
外壁塗装には、どのような劣化症状があり、原因は何なのか。補修にはどのような対応方法があるのかお伝えしていきます。
目次
外壁塗装の劣化原因
外壁塗装が劣化する原因には、
- 雨や風、雪
- 紫外線(太陽に光)
- 地震などの振動
- 経年劣化
- 施工不備
があります。
外壁は、外からの雨風や紫外線などなどから家の内部を守るためにあるので、常にさらされてしまうことは仕方のないことです。また、風の影響を受けやすい、日差しが良い土地などは、劣化が早まることがあります。
外壁は、マンションや一軒家のそれぞれに使われている素材の種類に限らず、必ず劣化していき美観を損ねるものとなります。
外的要因
雨風や雪、気温(温度)や湿度、太陽光による紫外線が該当します。
日差しが強く当たる南側の外壁は、北側の外壁に比べて紫外線による劣化の進み具合が早いです。北側の外壁は日当たりがよくないので、湿気が溜まり、コケやカビが繁殖しやすいです。住宅環境により自宅外壁のトラブル現象は起こります。
経年劣化
新築時に塗装工事をしてから年月が経つと、外的要因によって劣化していきます。少しずつ劣化が進み、ヒビやコケなどが見えるようになります。
施工不良
施工期間を短くして、十分な乾燥をしなかったときは塗装の性質を完全に発揮しません。また、現場で塗料を条件以下に薄めると劣化のタイミングも短期間で現れます。
手抜き工事の事例としては、
- 外壁の洗浄が不十分
- 品質の悪い塗料が使われている
- メーカーの指定以上に薄めている
- 下地処理をしていない、または不十分
- 下塗りをしていない
- 塗る回数を減らしている
- 雑に塗っている
- 塗料の乾燥時間短い
などがおこなわることがあります。
塗装が必要な外壁の種類
外壁がタイルやレンガの場合は、耐用年数が長く塗装が必要ありませんが費用が高くメンテナンスが必要なためあまり使われることがありません。
サイディングボード、ガルバリウム鋼板、モルタル壁、コンクリート壁など基本的には経年劣化してきますので塗り替えが必要になります。
外壁塗装の劣化種類
外壁および外壁の塗装は、徐々に劣化していきます。劣化の種類や症状により、外壁塗装の必要性が違ってきます。自己判断でそのまま放置し続けると雨漏りや欠けたりすると、家の内部に大きなダメージが発生することがあります。
汚れが酷い場合は洗浄して綺麗な外壁の状態にしてから外装を確認することをおすすめします。以下に紹介する劣化の症状があるときは、塗装の寿命が近いです。
不安なときは、無料で現地調査をしてくれる複数の業者に見てもらいましょう。
コケやカビ、藻などの汚れ

日当たりが悪い北側の外壁や影になりやすい場所は、雨や雪の水分が溜まりやすくカビや苔が発生しやすい状態です。
通常は、塗装の一番上には防水効果のある塗料を塗って水分の浸透を防ぎます。年数が経つに連れて塗膜が劣化して効果を失っていき、外壁の水分が溜まったままの状態が続くことで苔やカビが生えてきます。
柔らかいスポンジで洗うか、高圧洗浄機で洗い落とし取り除きましょう。
ブラシでゴシゴシと洗ったり、家庭用高圧洗浄機で洗ったりすることで水圧が強いと下地の塗膜がはがれたり、傷を付けてしまうことがあり、余計に品質を低下させることがあるので注意が必要です。
しばらく経過観察して、短期間でコケやカビなどが発生するときは外壁に含まれる水分が乾燥しにくい状態ですので、塗装の効果に疑問を持ったほうがいいです。
チョーキング
チョーキングとは、粉状劣化ともいい、外壁を手で触ったときに手に白い粉状のものが付着することです。

この白い粉状のものは、防水効果のある樹脂成分が紫外線を受けて分解されたことで発生するものです。なので、外壁を触ったときに白い粉が手に付いたときは水を弾く防水性は低下しているということです。
防水効果が低下、または無くなってしまっている場合、外壁に水分が付くため、水分を吸収して膨張し、蒸発して収縮を繰り返すことにより、ひび割れや亀裂、最悪の場合は欠けたりします。
防水性が低下してきている状態なので、早めに塗り替えをすることで、外壁へのダメージを最小限にすることができ、家を長持ちさせることができます。
ひび割れ、亀裂、クラック

外壁が、サイディング・モルタル・コンクリートを使っている場合に発生しやすいのが亀裂です。気温の寒暖差や地震や車・トラックなどの振動による歪が外壁に亀裂・ひび割れとなって現れます。
ひび割れが発生すると、そこから外壁内部に雨水が浸透して腐食が早く進んでいきます。放置すると、外壁の水分含有量が多くなると苔やカビが発生します。正面だけでなく、外壁内部や裏側にも発生することがあります。
外壁のひび割れ部分からの水の侵入を防ぐために、シーリング剤を充填して雨水が浸透しないようにします。
塗膜の剥がれ、浮き

外壁の上に塗料を塗って、外壁を保護しています。塗料はペンキと同じ役割だと考えると分かりやすいです。塗料は、塗りたての時は柔軟性があり、紫外線や寒暖差での伸縮にも耐えられますが、塗料が劣化してくると柔軟性が損なわれて伸縮に耐えられなくなりひび割れして、そこから雨風や汚れが入り込み、壁と塗料の接着面が弱まり、浮いてきて剥がれてしまいます。
塗膜が浮いてきたり、剥がれたりしている場合、塗膜の劣化が進んでいる状態です。上塗りをしても、数年後には同じ症状が現れてしまいます。
業者に現地調査をしてもらい、外壁塗装の状態を正しく把握して塗り替え時期を検討する必要があります。
シーリング(コーキング)の劣化

シーリングとは、外壁がサイディングボードの際に壁と壁とのつなぎ目や窓のサッシ周りの隙間に埋める素材のことです。コーキングとも言われます。
シーリングは劣化すると、ひび割れや亀裂、収縮して外壁とシーリングの間に隙間ができるなどの症状が現れます。シーリング剤は、外壁の厚さ分が充填されていますので、表面だけに亀裂などが入っている場合は心配ありません。ただ、経年劣化が進むとシーリングの亀裂から雨水が浸透してサイディングや内部を腐らせたり、カビやコケの発生につながります。
シーリング剤の亀裂が表面だけなのか、それとも下まで亀裂が入ってしまっているのか確認が必要です。通常は、シーリングの表面を少し削ってみたり、細い棒をさして深さを確認したりして確認します。
古いシーリング材の上から新しいシーリング材を塗ることで、外壁塗装の塗り替え時期まで持たせることがあります。
外壁の歪み

外壁がサイディング材の場合、サイディングボード自体が歪んだり、浮いたりしてサイディングの繋ぎ目に隙間ができることがあります。
原因としては、
風や雨、日差しなど天候の影響によって、外壁塗装は徐々に劣化していきます。太陽光による紫外線の影響により、塗装膜が脆くなったり、変色したりすることでサイディングボードが波を打つように歪むことがあります。
サイディング材は、木材に釘で固定されています。その釘がしっかりと木材に打たれていない場合、サイディングボードが浮いたり、反ったりします。これは、外からも内側からも確認できません。一種の施工不良の可能性もあります。
素人では判断が難しいため、専門業者に確認してもらい、しっかりと対策してもらうことが必要です。
サビ

外壁に金属サイディングやトタンなどの金属製を使用している場合、経年劣化でサビが発生します。
窯業系サイディングやコンクリート・モルタル壁の場合でも、サビが発生することがあります。ヒビや亀裂から雨水が侵入して内部の鉄や金属部品が錆びて広がっている可能性があります。コンクリートやモルタルの場合、内部の鉄筋がサビてコンクリートが剥がれ落ちる爆裂という症状が出ることがあります。
自分でサビを落とすなら、スポンジとサビ専用の洗剤を使って落とします。範囲が狭い、表面だけが錆びている場合はDIYで落とすのもいいです。
ただし、内部からサビが外に出てきている場合は、業者に確認してもらい適切な対策をしたほうがいいです。放置しておくと、サビは広がり、補修や修理費用・塗装代が高くなることがあります。
色あせ

塗り立ての塗装の色は鮮やかな色ですが、年月が経つとともに色褪せていきます。太陽の紫外線により日焼けして塗装面がダメージを受けることで色が変色していきます。
外壁全体が色褪せてくると、色の変色に気が付かないことがありますが、経年劣化は進んでいきます。コケやカビなどが発生した場合は、塗装の耐久性も低下してきているサインです。外壁全体が劣化してきていますので、専門業者に相談して塗り替えのタイミングを検討する必要があります。
外壁に劣化サインを見つけたときの対処法
外壁塗装の劣化を見つけた場合は、早めに修繕することが重要です。劣化が進行すると、外壁の機能が低下し、雨水や風などの外部の影響を受けやすくなります。その結果、外壁内部に腐食やカビの発生など、より深刻な問題を引き起す可能性があります。
自分で修繕する人もいますが、DIYするときはしっかりと情報を調べてから作業するようにしましょう。
専門業者に相談する
リフォーム会社や塗装専門業者、家を建てたハウスメーカーなどの専門家に状況を説明して無料診断してもらいましょう。その際は、1社のみでなく2~3社程度の複数に依頼して見積もりなどをもらってください。
劣化の原因や修繕方法・費用などのアドバイスを聞きましょう。また、今すぐに塗り替えが必要なのか、現状のままだと何年後くらいに塗り替えが必要になるのかも聞いておくといいです。
家を建てたハウスメーカーに依頼すると保証対象期間で費用が安くなったり、スタッフがサービスで補修してくれるケースがありますので、保証の件も気にしておくといいです。
補修・修繕する
劣化が軽度の場合、業者に自分で補修することができるのか、できる場合はどのように補修・修繕したら良いのか詳しく聞いて費用を安くできるDIYにトライするのも一つの方法です。
シーリング(コーキング)剤を打つ、塗り替える必要がある場合は、専門的な知識や技術が必要になりますので無理して自分で塗ろうと考えないでください。平屋ならまだしも、2階建ての場合は、普通のはしごを使って2階部分も塗ろうとすると危険が大きいです。
自分で補修できるところと、業者にお願いするところをしっかりと確認しておきましょう。
お金がないので塗り替えできないというときは、助成金や補助金などが使えないかも確認しておくといいです。
外壁の劣化を修繕する費用
外壁の劣化症状や施工業者により、見積もり価格は異なりますので、複数業者から見積書を入手して総合的に判断できるようにしましょう。
シーリングの打ち直し
シーリング(コーキング)に亀裂が入っている場合、古いシーリング剤の上に被せるように補充する方法と、取ってしまって新しいシーリング剤に変える打ち直しがあります。
補充は、一時的な対策です。
打ち直しは、長持ちしますが外壁の塗り替えと一緒にしないと、塗り替え時に再度費用が掛かります。
補修方法 | 費用相場 |
シーリングの補充 | 1mあたり500円~1,000円 |
打ち直し | 1㎡あたり500円~2,000円 |
この他にも、足場代やシーリング材の廃棄費用などが掛かります。
外壁の補修
外壁のサビ落としやセメント補修、パテ塗りなど部分補修がありますが、大きさあどにより料金が違うため業者に処理方法と見積もりをもらいましょう。
補修方法 | 費用相場 |
部分補修 | 補修内容や範囲により異なる |
外壁塗り替え | 1㎡あたり4,000円~10,000円 塗料や塗り回数により異なる |
この他にも、足場代などの費用が必要になることがあります。
高圧洗浄
自分でも簡単に高圧洗浄をすることもできます。
まとめ
劣化した外壁を放置すると、建物全体の損傷や価値の低下につながる可能性があります。早めの修繕によって、建物を長く健康的に保つことができます。