外壁塗装は、外壁を保護するための塗装のことを言います。建物の外観を美しくするだけでなく、機能性の保全や向上にも欠かせないメンテナンスです。
外壁塗装の詳しい目的や必要性、さらにメリットとデメリットについても詳しく解説していきます。
目次
外壁塗装の必要性
外壁塗装を必要としないと考える方もいるかもしれませんが、ただの見た目の美しさだけでなく、建物の劣化を防ぐために重要なメンテナンスです。
外壁は365日24時間、天候の変化や排気ガスなどの環境的影響を直接受けています。外的要因により外壁が劣化し、本来の防水や断熱といった性能が低下することで、建物全体の耐久性にも悪影響を及ぼします。
そのため、外壁の性能を維持するためには定期的なメンテナンスが必須です。
外壁塗装の役割
外壁塗装は、主に以下のような重要な機能を果たし、家全体の保護と性能を向上させてくれます。
外壁の下地を雨などから守る防水性や防汚性
塗装により、外壁は雨水の侵入を防ぐ防水層として機能します。また、防汚性が向上することで、日々の汚れやほこりが付着しにくくなり、清掃が容易になります。
室内の温度上昇を防ぐ断熱性や遮熱性
適切な塗料を使用することで、夏場の室内温度の上昇を抑える遮熱性を備え、冬場は外部からの冷気を遮断する断熱効果が期待できます。これにより、冷暖房費の節約にもなります。
色合いに応じた美観保持ができる
外壁塗装により、建物の見た目を長期間美しく保つことができます。色褪せや剥がれを防ぎ、選んだ色で外壁を一新することで、建物全体が新しく見えるようになります。塗り替えることで建物の印象が良くなります。
外壁塗装はいつ実施するもの?
外壁塗装を行う目安としては「築10年」または「前回の塗装から10年」経過してからです。
10年という目安は、日本の住宅市場で広く用いられている窯業系サイディングボードの防水性能が、約10年で大幅に低下するために設けられています。
また、塗料の種類によって耐用年数は異なるので、10年というのはあくまで目安になります。
ただし、築10年が一つの目安であっても、それに満たない期間でも外壁に劣化の兆しが見られる場合は、築10年を待たずにメンテナンスを行うことが大切です。
具体的には、ひび割れ、色褪せ、剥がれなどが外壁に現れたら、これが建物の構造的な問題に発展する前に、専門家による点検を受けましょう。
また、外壁からの水漏れや室温や湿度の上昇も、早急な対応を要するサインと言えます。
気になる症状が見られた場合には、速やかに専門の業者に相談することが建物を長持ちさせることになります。
外壁塗装の流れ
外壁塗装の工程を順に説明します。
外壁のまわりに足場を設置する
外壁塗装を行う際には、作業の安全性を確保し、効率的に高所での作業を行うために、足場の設置が欠かせません。
足場は作業員が安全に、かつ容易に高い位置で作業を進めることができ、均一に塗料を塗布するためにもしっかりとした足場が重要になります。
しかし、足場の組み立て時は、ハンマーを使用するなどして音が発生します。
静かな住宅街では、騒音トラブルにもなりかねないので、工事を開始する前には近隣住民への配慮が不可欠です。
具体的には、足場を設置する日程、工事の期間、作業中に予想される騒音についての事前説明を行うことが必要です。
外壁の洗浄や古い塗料の除去など下処理を行う
高圧洗浄機を使用して外壁を洗浄することで、外壁に付着しているほこりや汚れ、藻やカビ、古い塗料の剥がれや浮き取り除きます。
この工程がないと、塗装が剥がれたりする原因となってしまいます。
外壁に入ったヒビの補修や養生
下地処理は、外壁のひび割れや剥がれなどのダメージを修正し、表面を滑らかにする工程です。下地処理をして塗装面を滑らかにしておかないと塗料がしっかりと密着してくれません。
また、塗料が付着してはいけない場所の養生も行います。例えば、家の玄関、窓、駐車してある車、エアコンの室外機、庭の草木など、塗装作業中に塗料が飛散する可能性のある場所を保護します。
外壁の塗装作業
外壁塗装の一般的な塗装工程は、「下塗り」「中塗り」「上塗り」という3段階に分けられ、それぞれの塗装層が完全に乾燥した後に次の層を塗っていきます。
下塗りは、本塗装の基盤となる最初の層です。中塗り・上塗り塗料との密着性を高めたり、外壁塗膜を作り出したりするのが目的です。下塗りをしておかないと、塗装が剥がれる原因にもなってしまうため、重要な工程といえます。
下塗りの後は中塗り、そして上塗りの順番で施工していきます。中塗りは、下塗り塗料の色を隠したり、上塗り塗料との密着をよくさせたりする目的があります。
上塗りは、中塗りと同じ塗料を使用し、中塗りで生じたムラを隠すための工程です。建物の美観はこの上塗りにかかっています。
塗装後の外壁の点検や足場などの撤去
外壁塗装が完了した後は、塗装後の外壁の点検と足場の撤去を行います。
全体の塗装作業が終了すると、専門の業者または担当者が塗り残しやムラがないかを確認します。
確認作業が問題なく終了したら、作業場の片付けと足場の撤去を行い施工が終了します。
外壁塗装をしないとどうなる?
外壁の劣化を放置すると、最終的には簡単な修繕では済まされず、全面的なリフォームや大規模な修繕が必要となることがあります。
高額な費用を要するだけでなく、住まいの快適性や安全性が損なわれるリスクも伴います。
主に以下のような症状が発生している場合は、なるべく早く業者へ問い合わせをしましょう。
症状 | リスク |
・チョーキング(塗料が粉状になる現象) ・ひび割れ ・塗料の剥がれ | 建物の下地を腐食させてしまう可能性がある |
・外壁のひび割れ ・シーリングの劣化 | 雨漏りが発生し内部構造の腐食やカビの発生、断熱材の効果低下などの原因となる |