コンクリート塗装とは、表面に塗料を施すことで、防水性や耐久性を高め、美観を回復するメンテナンス方法です。
住宅の外壁やガレージの床、塀など、さまざまな場所で利用されているコンクリートですが、新築時から年月が経つと、水汚れやカビが目立ち気になることがあります。
頑丈なコンクリートでも、表面の劣化を放置すれば雨水が内部に侵入しやすくなり、建物の寿命を縮める原因になります。
そこで今回は、コンクリート塗装の流れやポイントを詳しく解説し、劣化を防ぎ、建物の美観を守るための方法を紹介します。
目次
コンクリート塗装の必要性
コンクリートは、紫外線や雨風によって徐々に劣化していくのですが、表面が劣化すると、白華現象や色あせ、カビやコケが発生するため、美観維持のために塗装が必要です。
また、コンクリートは本来非常に耐久性の高い素材ですが、経年劣化によって表面が劣化すると、ひび割れやクラックが発生します。
ひび割れやクラックが発生すると雨水が内部に侵入し、コンクリートを腐食させ、内部の鉄筋を錆びさせます。そのため、耐久性を高め建物を健康な状態を長続きさせるためにもコンクリート塗装が必要です。
コンクリート外壁の塗装について
コンクリート外壁といえば「打ち放し」のデザインが主流です。打ち放しコンクリート外壁でも、見た目がシンプルゆえに汚れや劣化箇所が良く目立つだめ定期的な塗装が必要です。
そこで、コンクリート外壁の場合の、メンテナンス時期や、適した塗料、工法について解説します。
コンクリート外壁のメンテナンス時期目安
一般的に、コンクリート外壁のメンテナンス周期は10年から20年が目安とされています。
ただし、これはあくまでも目安であり、外壁の状態や環境によって異なり、以下のような症状が現れた場合は、その周期よりも早めに対応することが重要です。
症状 | 症状 | 対応策 |
ひび割れ | コンクリート表面に細かいひび割れが発生 | 内部に水が浸入すると劣化が進むため、早急に補修し、塗装で保護する |
サビ・鉄筋の露出 | 鉄筋が錆びて露出している | サビを除去し、防錆処理を行った後、再度塗装して保護する |
塗装の剥離・浮き | 塗膜が剥がれたり浮いたりしている | 剥離部分を除去し、下地処理を行った上で塗り直す |
カビやコケ | カビやコケが発生し、美観が損なわれている | 防カビ・防苔効果のある塗料で再塗装し、定期的に清掃する |
コンクリート外壁の塗料と工法について
コンクリート外壁の塗装は、他の外壁材とは異なる特性を持つため、適切な塗料と工法が必要です。
コンクリート外壁に使用される塗料は、窯業系サイディングや金属外壁用の塗料とは異なり、専用塗料が必要です。
以下で、コンクリート外壁に適した塗料と工法についてコンクリートに使われる塗料と㎡あたりの価格、耐用年数を一覧表にまとめました。
塗料 | ㎡あたりの価格 | 耐用年数 |
撥水剤 | 1,500円~2,500円/㎡ | 3年~7年 |
クリア塗料 | 3,000円~5,000円/㎡ | 5年~15年 |
弾性塗料による塗装 | 2,000円~3,000円/㎡ | 10年~12年 |
再現工法 | 5,000円~7,000円/㎡ | 5年~15年 |
コンクリート塀の塗装について
コンクリート塀は、ブロック壁かコンクリートを塗り上げた塀かで、メンテナンスの周期や塗り替えの目安となる症状、塗料が変わってきます。
ブロック塀の塗り替え時期
ブロック塀の塗り替え時期は、一般的に3年から5年と言われています。これはブロック塀の表面が多孔質であり、外部からの湿気や汚れが内部に侵入しやすいためです。
以下のような症状が見られた場合、塗り替えが必要と判断できます。
症状 | 理由 | 対策 |
コケやカビが生え始めた | 湿気が多い環境にあり、塀の表面保護機能が低下しています。 | 高圧洗浄でカビやコケを除去し、防カビ・防苔効果のある塗料を塗ります。 |
古い塗料がはがれてきた | 塗料の密着力が低下し、保護機能が劣化しています。 | 剥がれた部分をしっかりと除去し、下地処理を行った上で塗ります。 |
コンクリートで塗り上げた塀
コンクリートで塗り上げた塀の塗り替え時期は、一般的に5年から10年と言われています。
塗り上げた塀は表面が滑らかで、ブロック塀よりも保護層が長持ちするため、塗り替えまでの期間が長いです。
以下のような症状が見られた場合、塗り替えが必要と判断できます。
症状 | 理由 | 対策 |
表面が粉っぽくなってきた | 紫外線などの影響で、塗料の劣化が進んでいます。 | チョーキング部分を清掃し、耐候性の高い塗料を塗ります。 |
細かなひび割れが見られる | 初期症状で、進行すると水分が内部に浸透して腐食が進みます。 | ひび割れ部分をエポキシ樹脂などで補修し、防水性の高い塗料を塗ります。 |
コンクリート塀の塗装方法や適した塗料
コンクリートで塗り上げた塀は、伸縮や振動によって細かいひび割れを起こしやすい特徴があるため、弾力性のある塗料を使用します。
弾力性のある塗料は、塀ひび割れを起こした場合でも、そのひび割れに追従し、塗膜が剥がれにくくなるからです。
コンクリート床の塗装について
コンクリート床の塗装は、ガレージや玄関、車庫、ベランダなどの床面に高い耐久性が求められることから、塗料選びが必要になります。
特に重い自動車が入るガレージや車庫は耐久力不足になると数年で剥がれ・ひび割れが発生する恐れがあります。
コンクリート床のメンテナンス時期目安
コンクリート床は、使用環境や塗料の種類によって劣化速度が違います。
一般的に、車両の出入りがあるガレージや工場では摩耗が激しく、3~5年ごとにメンテナンスが必要ですが、玄関やベランダなど、人が歩くだけの場所では10年近く持つこともあります。
防水工事を施したコンクリート床のメンテナンス周期は10~12年おきです。
塗装のみの床に比べて耐久性が高いため、メンテナンス周期が長いです。防水層が劣化すると、コンクリート内部に水が浸入し、コンクリートにダメージを与えるため、定期的な点検が必要です。
また、以下のような症状が出た場合は、メンテナンスが必要な合図です。
- 未塗装部分がボロボロになってきた
- 塗装部分の艶がなくなり、粉っぽくなってきた
- 古い塗装が剥がれてきた
コンクリート床の塗装方法や費用
コンクリート床の塗装には、使用する塗料や施工方法によって異なる種類があります。
それぞれの塗装方法には、費用や耐久性に違いがあり、目的や予算に応じて最適な塗料を選びます。ここでは、代表的な4種類の塗装方法について解説します。
塗装方法 | 費用(DIYの場合) | 耐久性 | 特徴 |
アクリル塗装 | 2~3万円 | 3年~5年 | 比較的安価で施工が簡単。 耐候性はあるが、耐久性は中程度。 |
エポキシシールド塗装 | 4~6万円 | 5年~10年 | 耐久性が高く、耐摩耗性に優れており、ガレージなどに適している。 DIYでの施工も可能だが、専門知識が必要。 |
ウレタン塗装 | 7~12万円 | 10年~12年 | 弾力性があり、ひび割れに強いうえ、防水性も高い。 DIYでの施工は難しく、プロに依頼することが一般的。 |
FRP塗装 | 10~15万円 | 10年~12年 | 非常に高い耐久性と防水性を持ち、強度も優れている。 |
コンクリート塗装は自分でできるか
結論から言うと、コンクリート塗装はDIY可能です。DIYすることで、業者へ依頼するよりは圧倒的に安価で済みますが、それなりのデメリットも存在します。
主に、コンクリート塗装をDIYした場合、以下のような理由から剥離等のトラブルを起こすことが多いです。
- 塗料の品質が良くない
- 乾燥不足のまま施工してしまう
- コンクリートの研磨・水洗いを怠る
また、高所での作業が必要となる場合、DIYでの塗装は非常に危険です。当然DIYの場合、仕上がりや耐久性はプロよりは劣りますし、失敗した場合は、再補修や塗装が必要なため、余計に費用がかかります。
これらの理由から、業者への依頼をするのがおすすめです。